「月に笑う(上)(下)」感想
いつもの4月より時間があるので家に引きこもって本を読んでいます。
ま、普段から基本的にインドア体質ですけども。
今回は「月に笑う(上)(下)」です。
上下巻ですが、あっという間に読み終えてしまいました。
組を移った信二と、大学に進学した路彦。それぞれの新たな生活が東京で始まったが、二人の関係は穏やかに続いていた。組に疑似家族を求める信二は、組長の息子・惣一につくことになって以来、洗練された惣一に傾倒していく。しかし、組の仕事に路彦が偶然にも関わりつつあると知り…!?失ったものを取り戻すんじゃなく、お前が心底欲しかった―上下巻合わせて380ページ超書き下ろしで2冊同時発売。
(「月に笑う(下)」あらすじより)
いじめられっ子とチンピラヤクザのお話。
じっくり二人の関係が進展していくさまが丁寧に描かれていて、いわゆるBLかと言われるとちょっと違うのかな?って感じもします。
でもとても読みごたえがあって、じわっと感動するところもハラハラする展開もあって読んでて面白かったです。
路彦と山田の会話のテンポがよくて楽しい(笑)
最初は弱虫だった路彦がどんどんかっこよく大人になっていくのがよかったですねー。
でも刑事との取り調べのあたりを読めばもうその片鱗は見えてたか。
終盤の逃亡劇ではとても頼もしかった!
それでも山田との関係性は昔と変わらないままなのが微笑ましい。
月に笑う2から後は基本的に山田視点。
いじめられっ子だった路彦にとっては救世主であり唯一の友人である山田。
理不尽な物言いをしたりすぐかっとなったりするところもあるけど、山田は根は優しい人なんですよね。
絶対に路彦をヤクザに関わらせないようにしたり、舎弟の良太を全力で助けようとしたり、君嶋を殺せなかったり…食べ物やお菓子で路彦の機嫌を取ろうとしたり(笑)
ただの友人だったのに山田が手ほどきしたことによって変わっていく二人の関係性。
最初から山田は路彦のことを可愛いと思ってたんでしょうけど、それは子供や弟に向けるような情で。
そこに少しずつ混ざる親愛以外の情や欲。丁寧に話が進むから無理がなく二人の関係の発展を受け入れられます。
山田じゃなくても路彦見てたら可愛いなって思っちゃうよ~(笑)
大人になってくると路彦が思っていた以上に頑固だったり嫉妬深かったり。
山田も危ない振る舞いをしたり、理不尽な物言いしたりするけど路彦のことを大切に思ってるんですよね。
確実に前よりも二人の関係に甘さが漂っていて読んでいてほのぼのします。
スーツを買うところのくだり可愛かった~。
一番ぐっと来たのは廃車の中で山田が助けを求めるシーン。
二人の関係が一歩大きく進んだ瞬間ですよね。山田が路彦に頼ることができてよかったなあって。
でも…二人で逃げてきて路彦は山田をかばって撃たれたのに、路彦がもし死んでしまったらその現実に耐えられないから路彦の前から姿を消す。
失うのが怖いから自分から手放す、知りたくない現実からは目を逸らす…。
弱虫だったのは路彦だったけど臆病だったのは山田だったんですね。
最後には自分を思い続けてくれた路彦の手を取ることができてよかった。
ラストシーンは月に照らされた川で。挿絵も相まって鮮明に浮かび上がる情景が素敵。
「月に笑う」というタイトルがすっと納得できる幕引きでした。
読み終わった後に表紙を見るとまたいいですねー。上下巻の表紙が繋がるんですね、こういうの好きです。
路彦の成長具合と年月が経過しても山田の服が変わってないところがまたGood!
スピンオフ「灰の月」のメインとなる惣一と嘉藤も登場していました。
「月に笑う」の作中では変態な性癖持ちでちょっと性格に難あり?な冷酷経済ヤクザとその忠実な部下という印象でしたが、「灰の月」ではどのような展開を繰り広げるのか…。
気になる人は「灰の月」を読もう!(ダイマ)
そして路彦と山田の話は「灰の月(上)」にも2つの番外編が収録されています。
相変わらず揉めたりしながらもちゃんと仲良くやっていけていてよかった。「灰の月」、本編が本編なのですごく甘く感じられる~♡
そしてさりげなくリバ。
路彦可愛い~と思いながらも下巻読んでる最中にあれ?これ山田が受けになる気が…と思っていたらやっぱりそうだった訳ですがここでリバ!
でもなんか納得。この二人にはどっちが受けだ攻めだってことは関係ない気がします。
上からも分かるようにもう「灰の月」も読み終わってるんです。
そちらについても書きたいこといっぱいあるのでその感想は次回で!