割れ鍋に綴じ蓋

作品の感想などを気ままに。BLが苦手な方はご遠慮ください。

「ブライト・プリズン 学園の王に捧げる愛」感想

毎日暑いですね~。私は束の間の夏休みが終わりそうです。今年は新型コロナウイルスの影響でいろいろなスケジュールがぐちゃぐちゃになってしまいましたね。きっと大変な状況はまだ続くと思いますが、私も引き続き予防を怠らないように気を付けたいです。そのためにはいっぱいBL読んで元気つけないとね!(笑)また新たにシリーズものをゲットしたのでそれも楽しむぞ~!

 

今回はこちら。シリーズ7冊目「ブライト・プリズン 学園の王に捧げる愛」です。

ブライト・プリズン 学園の王に捧げる愛 (講談社X文庫)

愛する薔を誰にも渡さず守るため…そして腐敗した教団を改革するために、教祖暗殺を決意した常盤。その悲壮な選択を受け入れた薔は、重過ぎるプレッシャーに倒れてしまう。薔の身を案じた常盤は最善の策を求めて悩むが、その一方で学園のキング・楓雅は悲況に陥っていた。楓牙のために塀の外の世界に出たがる薔を常盤は説得するが、薔の勢いは止まらず…!濃密な愛が絡み合う、全寮制学園ファンタジーボーイズラブノベル!

(「ブライト・プリズン 学園の王に捧げる愛」あらすじより) 

前巻の続きが気になりまくる幕引きからの7巻目です。教祖暗殺を考えていた二人でしたが、事態は急展開を迎えて思わぬ方向に転がっていきます。今回も感情が揺さぶられまくる展開の連続でした…。

 

教祖暗殺という重圧を知らず知らず感じていたはマラソンの授業中に倒れてしまう。倒れた薔を剣蘭がお姫様抱っこ!そして常盤と間違えてキス寸前!危ない危ない。ここで薔は決意ができていないと自分自身に苛立ってますけど、そんな決意できなくて当然なんだよな…。でもこのままじゃ対等な関係になれないと葛藤する気持ちも分かる。

この後、薔は常盤に心配をかけまいと自分から積極的に迫る!レアな薔ですよ。常盤はゴムの事根に持ってるし…(笑)でもこんなやり取りや常盤と体を繋げることで不安が和らぐならいいよね。

 

翌日、常盤は自宅で改めて教祖暗殺について考える。薔と同じように常盤も葛藤しています。登場するたびに思いますが、青一さんは本当に得難い友人だなあ。

自室に戻り、先日の電話での榊の発言に思索を巡らせる常盤。読者は楓雅さんが目に問題を抱えていることをすでに知っていますが、常盤は知らないわけで。常盤は事実を確かめるべく京都へ向かいます。

 

時間は少し戻り、薔と茜の間のわだかまりが解けた日。満月の夜、いつものようにログハウスに向かう楓雅。そこにいたのは木蓮の姿をしていた椿だった。

あーーーーーこういうところですよーーー!!!常盤は分からなかったのに楓雅は目を見れば分かるんですよーーー!!(クソデカ大声)

こういうのほんと好き。ここ読んで初めて分かったんですが、楓雅の視力低下を椿は知っているが楓雅は椿に知られているとは思っていなかったんですね。椿はどのタイミングで知ったんだろ…。

そして椿から公開儀式の事を知らされた楓雅は切り札を切ることを決意すると。人間誰しも他人を完全に理解する事などできないのだから榊と楓雅の考えの相違も仕方のないことだとは思うんですよね…。今後の事を考えれば榊が考えた案は合理的な方法かもしれませんが、薔や椿はやっぱりつらいものがありますよ。でも榊が教祖に打ち明けないよう楓雅に言い聞かせていたのは榊なりの愛情で。榊の提案も楓雅の切り札もそれぞれ大事な人を守るための手段であって、それでも全員の想いが理想的な形で叶うとは限らない。なんとも難しい問題です。けれども一番守りたい人を守るという楓雅の決意でまた二人の関係が一歩進んだ気がします。

 

ていうか!!ここのログハウスでのシーン!!椿さん今までよりデレてませんか!!!木蓮の顔が好みなのかと勘違いするとか、楓雅が木蓮を抱く絵面は不愉快とか!!!!今まで冷たい態度をとっていながらも椿だって楓雅に情があるでしょ?本当は楓雅の事が好きなんでしょ?と思いながらずっと読んできましたが!言葉でこんなに明確に思いを表に出すなんて!!!は~ん、楓雅さん良かったね…。この二人が好きな私も嬉しいですが一番嬉しいのは楓雅さんだよね…!

 

楓雅と血が繋がった兄弟ということを知ってから初めて会うことになった薔。

も~ここいろんな思いが混じり合ってなんとも言えない気持ちになる…。楓雅は薔が実の兄だと知らない内からずっと本当の兄弟のように接してきた人で、お互いに大事でとっても頼れる人で。そんな人からいざという時には自分ではなく恋人の事を最優先すると告げられるのは、それが最もな事だと頭では理解していても少し寂しくなりますよね。しかもその恋人はいろいろと因縁のある椿だし。もちろん恋人が一番大切だけど家族も大切だよね。楓雅さんと薔もずっと仲良しでいてね…(´;ω;`)

おまけ程度ですがこの後の薔と椿のキャットファイトみたいなのがちょっと面白かったです(笑)私は椿さん好きなので可愛いなあ(笑)と思っちゃいますけど、薔からすれば本当に癪な人だろうなあ。

 

私がそれぞれの関係性に良かったね…と浸っていると、作中では教祖が刺されたという知らせが!なんと!?常盤は教祖の入院した朱雀病院に到着すると銀了に呼び出され…?

4巻の紫苑絡みの話のときからですけど、銀了もなかなかに厄介で嫌な人だと思っていました。でもここ読むとちょっと見方が変わって、一層教祖が全ての元凶なんじゃないのかなと思えるようになってきました。というか自業自得?銀了はあくまで神子という立場に与えられる特権が欲しくてその立場に甘んじているのかと思ったら、銀了は銀了なりに教祖に情があったんですね。現役の神子じゃなくなった途端に捨てる教祖が悪いんじゃん?としか思えなくなってしまったのですが…。教祖に良いところ見出せないよう!

 

常盤は病床の教祖と楓雅を学園から連れ出す約束をする。薔・常盤・楓雅・椿の4人で教祖の元へ向かうことに。同じ空間にこの4人が集まってるの珍しいシチュエーションですよね。4人しかいないからいろいろと誤魔化す必要もないし。それにしても薔の女装!!イラストで見たかった…。 

 

教祖と面会した後、薔と常盤は病院でと会う。

榊さん…(´;ω;`)

誰が悪いという話ではないし(あ、教祖には責任があると思う)、ちょっと言い方が悪いとは思いますが、親からの愛情を楓雅に奪われ、恋焦がれる人を薔に奪われ…。しかも教祖選の直前に事故死するように言われてたなんてあまりにもひどすぎる。

ちょっと榊さんの人生やるせなくないですか…。それでも自分が得られなかったものを弟たちが得たことを自分の夢の半分と言い、弟二人を愛し、誰を憎むこともなく生きられるその心が美しい。あんな父でも愛していると…なんでそんな風に言えるの…。

 

病院を抜け出した榊は学園へ向かい、剣蘭に会いに行っていた。

は~ん、ここの兄弟も好き…。剣蘭は本当にサバサバとしていて懐の深いイイ男だね。榊は病気の事もそうだし、いろいろと可哀想な人ではあるけど、幼少の薔と剣蘭の人生を自分の身勝手な恋情で歪めたという罪を犯してもいて。だから被害者でしかないとは言えないのですが、それでも薔と楓雅の幸せを、薔と常盤が上手くいくことを願うその気持ちは本物だと思うんです。常盤への恋に一時は目が眩んだとはいえ、今の自分の状況で他人の幸せを願えるその心の在り方が私はとても好きです。5巻の時点で気になる人だなあと思っていましたが、完全にこの巻で榊さん大好きになってしまった。幸せになって…。

そして剣蘭!相当薔に惹かれていますね。でもその思いが叶うことはなくて…。こういうところで榊と剣蘭の兄弟が似ているというのもまた物語としては面白いですね。

 

学園に戻ってきた常盤は薔の部屋へ。エロに貪欲な薔可愛いよ♡経験値がどんどん上がっていきますね(笑)またここのイラストがとてもよき~。

そしてエピローグ。教祖が亡くなったと…。大切な人たちを守るため、常盤は教祖の座を目指す。

 

いや~本当に大興奮の7作目でした。いろんな要素盛り盛りで最高だった!楓雅×椿が好きだからってこともありますが、私の心にグサグサ刺さるポイントがたくさんありました。今回この二人かなり進展しましたよね!?そして常盤×薔は大きな流れの中でも相手への気持ちを信じていたので安定していた印象でした。7巻まで来て関係性が成熟してきたことが分かるシーンが増えてきたような気がしますね。今のところ7巻が一番好きかな。それでは次回「ブライト・プリズン 学園の薔薇と秘密の恋」の感想で!