割れ鍋に綴じ蓋

作品の感想などを気ままに。BLが苦手な方はご遠慮ください。

「ブライト・プリズン 学園の薔薇は蜜に濡れる」感想

うわーもう7月ですね。2020年も下半期に突入してしまいました。相も変わらず引きこもり生活続行中なんですが、そろそろ髪を切りたくなってきました…。否応なしに切らなきゃいけないタイミングが来るのでそのうち切りに行くと思うんですけど。マージで外での活動量が激減してるので多分体の衰えが恐ろしいスピードで進んでるはず…((((;゚Д゚))))ガクブル

 

今回はこちら。シリーズ5冊目「ブライト・プリズン 学園の薔薇は蜜に濡れる」です。

ブライト・プリズン 学園の薔薇は蜜に濡れる (講談社X文庫)

薔の祈りのおかげで劇的な回復を遂げた常盤が、竜虎隊隊長として学園に戻ってきた。薔薇の咲き乱れる屋上庭園で常盤に深く愛され、同級生の剣蘭たちとはしゃぎ、幸せな日々を過ごす薔。しかし常盤のある決意から、憎悪を膨れ上がらせた椿が遂に牙を剥く。彼が胸の内に秘めてきた妄執とは!?そして楓雅の兄・榊の介入によって、失われた薔の記憶が蘇る―。愛し合う常盤と薔は幸福な日々を守れるのか!

 (「ブライト・プリズン 学園の薔薇は蜜に濡れる」あらすじより)

今回は常盤が学園に戻ってきました!前巻とは打って変わって薔と常盤二人のシーンが多くて良かったですね。さらに以前から名前の出ていた榊が初登場!そして椿がついに動き出し…!?いや~、今回も波乱な展開でした!

 

前巻でのイチャイチャ不足を取り返すかの様に、いきなり常盤のラブシーン♡なんか薔はどんどん可愛くなっていませんか? 薔の第一印象は凛々しくかっこいいという感じで勿論今でもそう思っているけれど、それ以上に可愛さが前に出てきている気がするぞ…!薔は口でしたがってますが、常盤はなかなかさせてくれないですね。でもさせたくないその気持ちも分かる(笑)

恋人同士のラブラブえっちはやっぱりいいものですね…(・∀・)ニヤニヤ

この二人のこんなに糖度高めなシーンがすごく久しぶりな気がする…のですがそれは前巻が怒涛の展開続きだったからでしょうか?読んでいるこっちまで幸せな気持ちになれます。心の健康にいい…。落ち込んだ日には恋人同士のラブラブえっちがよく効きますよ…。ぜひお試しあれ。

 

甘い時間を過ごしていた二人とは裏腹に鬱屈とした気持ちを抱える椿。そんな椿の前に現れたのは楓雅でした。うう、椿…(´;ω;`)常盤に愛されている薔を羨み、疎ましく思う気持ちもある一方でそのような醜い感情を抱いている自分に一番嫌気がさしていたり、常盤の気を引いて恋人になれたのに結局突っぱねたりとグラグラと不安定なところがあって、でもそこが人間臭くて、だからやっぱり椿好きですね。

でも繰り返し見る夢に囚われた生き方は椿の人生じゃないと思うの…。楓雅の歩み寄りに期待したいです。楓雅さん頑張って!椿だって本当は楓雅に惹かれていることを認めたくないだけじゃないのー!?というか楓雅さんイイ人すぎるから恋を成就させてほしい…!

 

前回の感想記事(ブライト・プリズン 学園を追われた徒花」感想 https://upyons.hatenablog.com/entry/2020/06/30/ )でも書きましたが、やっぱりここでも常盤と楓雅という要素を介して薔と椿は何とも厄介な関係性になっているわけですよ、気持ち的な面で。薔から見ると椿と楓雅の間には昔何かあったんだなという認識と、椿は対外的には常盤の恋人として振舞っていて尚且つ嫉妬の対象。何かと薔を刺激する存在ですね、どちらかと言えばマイナスの方向で。これが薔的にはめちゃくちゃ大きい。そして椿から見ると薔は楓雅の実の弟と常盤が大切に育てた弟かつ最愛の恋人というすごいポジションを兼ね合わせて持っている。自分の立場を利用して常盤のそばに居続ける椿に嫉妬する薔の気持ちも、常盤と楓雅の両方からすごく大切にされている薔の事を疎ましく思う椿の気持ちもよく分かるんですよね…。

薔・常盤・楓雅・椿の4人についていろいろ書きましたが、複雑な人間模様に絡まってくるのは他にもたくさんいるんですよ!剣蘭とか今回初登場した榊とか…!こうなってくるとさらに複雑になるんですが、この愛憎入り乱れる関係性を眺めるだけでも楽しい(⌒∇⌒) 関係性オタクにとってはたまらん。

 

そして束の間の贔屓生たちの眩しい青春!贔屓生たちのわちゃわちゃは読んでいて本当に癒されます。年相応なはしゃぎっぷりが可愛い~!薔・剣蘭・白菊・茜の4人は卒業しても友達のままでいられるといいなあなんて思いますね。

 

ついに!満を持して楓雅さんのお兄さんで南条家長男・さんが初登場です。教祖候補筆頭なんて言われてましたし、いかにもエリート然とした雰囲気の人なのかしらなんて想像していましたが、その想像をかなり裏切る感じの人でした。常盤のような圧倒的なオーラを持っているわけではなく、どちらかと言えば穏やかな人に見えるのに威圧感を感じるようなカリスマ性の持ち主。ここの場面、南条家3兄弟勢ぞろいなんですね。なかなか感慨深い。そんでもってp179の挿絵の薔がめっちゃ可愛いんですけど!目がキラキラしてる~!

そして馬車の中での密談。常盤も榊も教祖候補としていろいろと動いているんですね。大人な会話だあ…とか思っていたらまさか榊さんも常盤の虜だったとは…!!常盤、恐ろしい子!でも榊も常盤に翻弄されるがままではないと印象付けるセリフがありましたね。まだまだ底の見えない感じです。

 

馬車を待っていた薔は常盤の私室へ向かうことに。そこで薔は常盤の実の弟ではなく、南条家の三男であることを告げられます…。個人的には血の繋がった兄弟でかつ恋人というのはちょっとなー…と思うところがあるにはあるのですが(もちろん兄弟BLも好きですよ)、薔の気持ちを考えるとこの事実って本当に辛かったと思うんですね。常盤は愛情を注いで薔を育ててくれたけどその期間はほんの3年で、大きくなって再会してから過ごした期間もまだ1年ちょっとなわけですよ。そして二人が愛し合っているのはもちろんですが、常盤はあの通りいろんな人から思いを寄せられていて薔の不安は尽きないからこそ、血の繋がりという確たるものの存在を拠り所にしていたところがあったんじゃないかなと。実際読み返してみると薔が血の繋がりを大事にしている描写が多いんですよ!

上から目線のように感じていた剣蘭の態度やたまたま鉢合わせた椿の存在も相まって薔は部屋を飛び出してしまいます。薔は感情的になることがままありますが、すぐに冷静になって自分の気持ちを整理できるところがやっぱりすごいですね。それでもこのときばかりは独りの時間が欲しかった…。

 

森の中を走りぬける薔を追いかけてきたのは椿。すると薔に睡眠薬を飲ませ、プールに突き落とす…!?

あらららら…。これはちょっとやりすぎよー椿さん!やっぱり茜に薬盛ってたし。そしてやっぱり夢?前世?に囚われすぎだと思うの…。この椿の夢は何かを暗示しているものだったりするんでしょうか。常盤と椿は決別することとなりましたが、心のどこかでは二人とも今の関係を断ち切るべきだと思っていたのでしょう。それがこのタイミング、こんな方法と物騒な感じになってはしまいましたが。

 

その後、薔と常盤の気持ちはまた一つに。命の危機を感じていたからか互いに貪るようなセックス。上の方で薔はいつ口でできるのかな、なんて書いてましたがとうとうその時が!最初のときは常盤に気乗りしないと言われましたが、それを打ち消すような言葉を貰えてよかったね。

勿論椿が本気で薔をどうこうしようとして突き落とした訳じゃないことは分かってましたが、二人は椿を責めていなかったので心が広いなと思いましたね。常盤が「来世では血の繋がった兄弟になろう」と言ったところはちょっとうるっとしてしまいました。

 

エピローグでは榊・楓雅兄弟のもとにやってきた椿の様子が。ここでさらっと兄弟の秘密が明かされています。榊は難病を患っておりいつ倒れるかも分からない状態。そして楓雅は裸眼では手指の本数すら確認できないほど視力が弱いと。教祖候補筆頭と思われていた南条家の跡取りたちがこんな爆弾を抱えていたなんて…。椿は楓雅と共にいることになりましたが、どうかこの判断が二人にとって幸せをもたらすものになりますように。

 

重要人物たちの新たに判明した事実や大きな動きがあり、さらなる展開が期待されますね~。椿スキーとしては彼がどうなっていくのか非常に興味があります…。幸せな結末を迎えられることを願ってます。

犬飼のの先生があとがきで表紙から椿の花が消えたと書かれていたのですが、読むまで気づきませんでした。本当だー!そしてなんと!?9月4日に10巻が出るとか!(講談社X文庫ホワイトハート 公式WEBサイト http://wh.kodansha.co.jp/schedule/ より)うわ~、すごく楽しみです!!早く読みたい!10巻が出るまでに既刊分の感想記事上げるぞ!上げたいな!上げられるかな…。頑張ります(苦笑)それでは次回「ブライト・プリズン 学園に忍び寄る影」の感想で!